禁煙外来とは
喫煙習慣を止める意思がある方を対象にした外来として、当クリニックでは禁煙外来を設けております。
禁煙治療の内容ですが、まず問診で患者様の喫煙歴や既往症などをお聞きするなど現状をしっかり把握したうえで、あなたに合った禁煙補助薬を処方いたします。
その後、経過を観察しながら、生活指導を含め、随時アドバイスも行っていきます。
当クリニックでは日本禁煙学会の禁煙認定指導医である院長と禁煙サポーターのスタッフが中心となって対応させていただきます。
禁煙治療は健康保険が適用されます
一定の条件を満たしている方は禁煙治療に、健康保険が適用されます。
初回の診察で医師が確認（条件を満たさない場合でも「自由診療」で禁煙治療を受けることは可能です）させていただきますが、以下に健康保険による禁煙治療の対象となる条件を示します。
- ニコチン依存症を診断するテスト（TDS：Tobacco Dependence Screener）で5点以上
- 35歳以上の方ではブリンクマン指数（1日の喫煙本数×喫煙年数）が200以上（例えば、25歳から1日15本喫煙している45歳の人なら、15（本）×20（年）＝300であり、対象となります）＊35歳未満の方には上記の条件は必要ありません。
- すぐに禁煙したいと考えていること
- 医師から受けた禁煙治療の説明に同意し、説明内容に納得された時は、文書で同意（サイン等）すること
禁煙治療にかかる費用は健康保険での自己負担3割として、8～12週間で約13,000円～20,000円程度 (処方薬によって異なる) 。
タバコを1日1箱吸う人の同期間のタバコ代は、約24,000～36,000円。禁煙治療の自己負担額は、タバコ代の約1/2で治療ができる計算になります。
タバコの煙には70種類以上の発がん性物質
タバコの煙の中には5300種類以上の化学物質が含まれ、70種類以上が発がん物質として同定されています。
また200種類以上の有害物質が含まれています。
また、がん以外にも動脈硬化や心筋梗塞などの循環器疾患、肺炎やCOPD（慢性閉塞性肺疾患）などの呼吸器疾患、脳出血や脳梗塞といった脳疾患などの原因にもなります。
このようなリスクを回避するためにも、禁煙治療を速やかに開始する必要があります。
しかし、タバコに含まれるニコチンは依存性が強く、喫煙者は一種の薬物依存の状態にあるため、禁煙をするのは容易ではありません。
そのような状況でも当クリニックは、患者様に寄り添い、禁煙への道を一緒に歩む治療を心がけていきます。
禁煙補助薬について
医師が必要と判断した際に処方される禁煙補助薬は次の通りです。
種類としては、ニコチンを補給して徐々に減らしていく薬、ニコチンを含まない薬があります。
ニコチンを含まない禁煙補助薬
チャンピックス（飲み薬、処方箋の必要な医療用医薬品です。）
主成分がバレニクリン酒石酸塩の禁煙補助薬がチャンピックスです。
効果としては、イライラ感や焦燥感といったニコチン切れ症状を軽減させる、タバコを吸ってもおいしく感じさせないといったことが期待できます。
服用方法は禁煙開始予定日の1週間前から服用（副作用の吐き気予防のため食後に多めの水で服用）します。
飲み始めの1週間はタバコを吸いながら服用し、8日目に禁煙を開始します。服用期間は12週間です。
はじめは少ない量で飲みはじめて、徐々に薬を増やしていきます。
飲み間違えを防ぐために服薬開始から14日目までの各日の服薬分がシートにセットされたスタート用パックが用意されています。
なお禁煙がうまくいっていても途中で薬の服用をやめたりせず、医師の指示どおりに続けてください。
12週の投与終了後、希望があればさらに追加で12週まで（合計24週）自費診療での投与が可能です。
副作用としては、吐き気、不眠症、頭痛などが報告されています。
このような症状が現れた場合は速やかに医師へご相談ください。
また、めまい、傾眠、意識障害があらわれ、自動車事故に至った例が報告されていますので、内服中は自動車の運転など危険を伴う機械の操作には従事しないようにしてください。
ニコチンを補給する禁煙補助薬
ニコチンパッチ（貼り薬、OTC:一般用医薬品と処方箋の必要な医療用医薬品があります。）
ニコチンパッチは、ニコチンを含んだ貼り薬です。1日1回、上腕や腹部、腰背部などに貼ります。
いつも同じ位置に貼るとかぶれることもあるので、かぶれ防止に毎日違う場所に貼るようにしてください。
OTCでは夜間ははがしてください。
医師の指導下に使用する医療用医薬品では夜間も貼ったままです。
はじめは喫煙本数にあったサイズで治療を開始し、禁煙が続いていれば１～1.5か月ほど使用し、その後小さいサイズで2週間使用して中止します。
これを貼ることでニコチンは皮膚からゆっくりと吸収されます。
タバコにはニコチン以外にも一酸化炭素などの有害物質が200種類以上も含まれますが、ニコチンパッチにはニコチンしか入っていないので、タバコよりは安全です。
ニコチンガム（OTCです。薬局で処方箋なしで購入します。）
ニコチンを含んだガムで、薬局・薬店で購入できます。
これを噛むと、ガムに含まれたニコチンが口の粘膜を通して血液中に吸収され、禁断症状が緩和されます。
1回の使用量は必ず1個にして、ゆっくり30～60分ほどかけて断続的にゆっくり噛んでください。
ニコチンガムは医薬品ですので、噛み方は普通のガムとは異なります。
正しく使用しないと効果が現れないだけでなく、副作用を招くこともありますので、使用上の注意事項はきちんと守ってください。
はじめは個人差があるので使用個数にこだわらず、タバコが吸いたくなったらガムを一個ずつ使用し、最初の1か月は禁煙になれる期間と考えて無理に減量しなくてもかまいません。
その後一週間ごとに1日1～2個になったら、ニコチンガムを中止できるように3か月をめどに禁煙を達成できることを目標にしています。
また使用期間は長くとも6か月を限度としています。
なお副作用については、喉などの痛みや刺激感、吐き気や胸やけ、頭痛やめまいなどが報告されています。