上部消化管内視鏡検査とは

胃カメラのイメージ写真

上部消化管内視鏡検査とは、食道、胃、十二指腸などを内視鏡を用いて観察する検査のことで、一般的には胃カメラと呼ばれています。
検査で使用する内視鏡は、スコープの先端に超小型CCDカメラと照明が付いた機器で、これを鼻もしくは口から挿入することで、食道や胃などの臓器や器官に病変(炎症、潰瘍、腫瘍など)があるかどうかを確認していきます。
また観察だけでなく、内視鏡で胃粘膜などの組織を採取し、ピロリ菌のチェックや顕微鏡での詳細な病理組織検査も行うことができます。

当クリニックで用いている鼻から挿入する内視鏡は太さ(先端外径)5.4mmと細く、違和感の少ない検査が可能でありながら、従来の機種よりも画像の明るさが増し、さらにハイビジョンの高精細な画質が得られるものです。
また、実際の検査では通常の観察に加え画像強調観察の技術を使った観察方法のひとつである「NBI」(NarrowBandImaging: 狭帯域光観察)を適時行い、病変の診断精度の向上と病変の見逃しを可能な限り減らせるよう努めております。

なお同検査は、日本消化器内視鏡学会認定の消化器内視鏡専門医である院長が担当します。
同学会のガイドラインに準拠した内視鏡洗浄消毒による感染症対策のほか、これまで培ってきた数々の内視鏡検査の経験からの丁寧な内視鏡操作、さらに検査後のお腹の張りが速やかに解消されるよう、内視鏡の送気には吸収・排泄の早い二酸化炭素を用いるなど、患者様の苦痛に配慮し、安心感も得られやすい検査を行っていきます。

上部消化管内視鏡検査を受けた方がよいとされる方(例)

  • みぞおちの周辺が痛む方
  • 胃の不快感・胸やけ・喉または胸のつかえ感がある方
  • 吐き気・嘔吐・吐血の症状がある方
  • 体重の急激な減少がある方
  • ピロリ菌感染を指摘されている方、またはピロリ菌除菌後の方
  • 胃潰瘍、十二指腸潰瘍を繰り返している方
  • 胃がん・食道がんになったご家族のいる方
  • 50歳以下で大腸がんや子宮内膜、卵巣、小腸、肝胆道系、腎盂・尿管などのがんになられたご家族がいる方
  • 大腸にポリープがあった方
  • 塩分を多くとる方
  • タバコを吸う方
  • お酒をよく飲む方
  • お酒を飲むと顔が赤くなる方、または以前はなったが今はならなくなった方
  • バリウムによる胃の検診で異常を指摘された など

上部消化管内視鏡検査で発見可能な病気

  • 逆流性食道炎
  • 胃炎(ピロリ菌未感染、ピロリ菌現感染、ピロリ菌既感染・除菌後)
  • 胃ポリープ
  • 十二指腸潰瘍
  • 食道がん
  • 食道ポリープ
  • 胃潰瘍
  • 胃がん など

「経鼻」も「経口」も対応

上部消化管内視鏡検査では、内視鏡を鼻から挿入する経鼻内視鏡検査、口から挿入する経口内視鏡検査の2種類ありますが、当クリニックはどちらにも対応します。
検査予約時にそれぞれの検査について、メリットとデメリットをご説明させていただきご相談の上ご本人に選んでいただいております。

鼻から挿入する経鼻内視鏡検査は、舌の付け根にスコープが触れないので、吐き気を気にせずに済み、また検査中に医師と会話をすることができるのがメリットです。
デメリットとしては検査により鼻痛、鼻血やくしゃみが出ることがあることが挙げられます。
一般的には苦痛をできるだけ軽減したい方が、経鼻をお選びになることが多いです。
ただし、鼻の穴が小さい方、鼻に疾患のある方、鼻血が出やすい方、花粉症の方、鼻に内視鏡を入れることに抵抗がある方などは経口内視鏡検査をおすすめしております。
また、経鼻内視鏡検査をお選びになられても、カメラの挿入困難のため経口内視鏡検査に変更させていただくこともございます。

一方の経口内視鏡検査ですが、口から内視鏡を挿入することからスコープが舌の付け根に触れるため、スプレーやゼリーによるのどの局所麻酔を行っても嘔吐反射が出ることがあります。
当クリニックでは通常眠り薬(鎮静剤)は使用しておりませんが、内視鏡検査に不安のある方はお気軽にご相談ください。
鎮静剤使用の内視鏡検査のメリットとデメリットをご説明させていただき、使用するか否かご本人に選んでいただいております。

当クリニックで使用する機材は、オリンパス製のEVIS EXERAⅢビデオシステムです

上部消化管検査用にGIF-H190Nを用いております。
経鼻用内視鏡ですがハイビジョン画像に対応しており、経口内視鏡用スコープにも劣らない詳細な病変観察と高精度な診断が可能です。
通常、胃の中は粘液が付着しているためそのままでは詳細な観察が不十分になってしまうことがあります。
そのため内視鏡検査前に胃の粘液を溶解除去して、内視鏡による診断を行いやすくするのみ薬を飲んでいただきますが、それでも粘液の付着が残ってしまうことが多いので、内視鏡で粘液の付着状態を見ながらカメラの先端から粘液をきれいにする液体を噴射して胃の粘膜面を洗います。
このとき経鼻内視鏡は送水チャンネルが細いため勢いよく洗うことが大変でしたが、当クリニックでは内視鏡用送水ポンプを使用し十分な粘液除去が迅速にできるようにし、検査時間の短縮と診断精度の向上に努めております。
また、使用したスコープの洗浄・消毒に用いる洗浄消毒装置はアセサイド6%消毒液を使用するオリンパス製のOER-4を導入し、日本内視鏡学会のガイドラインに準拠した内視鏡洗浄消毒による感染症対策を行っております。

検査前の注意点

上部消化管内視鏡検査を受けるにあたり、まず日時を予約します。また検査前には、同意書への記入があります。通常は採血も行っておりますが、検査説明時に省略可能か判断させていただきます。

検査前日

  • 前日の夕食は、なるべく早めに済ませるようにしてください。
  • アルコールは控えてください。
  • 午後9時を過ぎたら食事は控えてください。水と服薬については飲んでいただいて結構です。

検査当日

  • 検査が終わるまで、飲食は禁止です(うがいは問題ありません)。
  • 服薬は内視鏡説明時の指示に従って、指定されたものだけを指定された時刻に内服してください。
  • タバコは吸わないでください(胃液分泌が多くなり、検査が行いにくくなります)。
  • リラックスして検査が受けられるよう、ゆったりとした服装でご来院ください。
  • 眠り薬(鎮静剤)を使用される方は、自動車・バイク・自転車での来院はしないでください。

上部消化管内視鏡検査の流れ

当日行われる上部消化管内視鏡検査(経鼻内視鏡および経口内視鏡)の大まかな流れは以下の通りです。

1. 問診後、消泡剤を飲む
消泡剤などで胃内の泡を除去し、観察しやすくします。
2. 麻酔を行う
経鼻の場合は、挿入する方の鼻の穴を選択後、鼻腔(両側の鼻の奥)に麻酔薬を注入します。経口の場合は、咽頭麻酔を行います。
3. 検査開始(胃カメラ挿入)
検査時は左側を下にしてベッドで横になります。食道・胃・十二指腸の動きを少なくする注射(鎮痙剤)を肩に注射します。
なお経口で鎮静剤をご希望の方は、点滴を行いながら鎮静剤と鎮痙剤を点滴から投与してから検査開始となります。
注射による鎮痙剤を希望されない方は、注射を打たないで検査を行う場合と内視鏡から消化管内腔に鎮痙作用のある液体をまいて検査を行う場合があります。
4. 食道、胃、十二指腸を観察
食道、胃、十二指腸の内腔を観察し、必要があれば組織を採取(生検)します。
経口内視鏡検査では検査中に口の中で溜まった唾液は、飲み込まないで口の横から流し出してください。
5. 検査終了
一通り観察を終えたら検査は終了。検査時間は個人差ありますが、5~8分程度です。

検査後の注意点について

検査終了後もいくつかの注意点があります。
検査前に知る必要がある項目もいくつかありますので、受けると決めた時点で以下のこともお知りおきください。

  • 検査後も鎮痙剤の影響でまぶしさや目がチカチカしたり、動悸やのどの渇きが数時間残ることがあります。検査後すぐに帰宅できますが、乗り物の運転は場合によっては避けたほうが良い時もあります。その際は徒歩やバス、電車などのご利用をお願いいたします。
  • 眠り薬(鎮静剤)を使用された方は、クリニック内で1~2時間程度休息していただき帰宅が可能になったことを確認後にお帰りいただきます。当日の飲酒は必ずお控えください。
  • 経鼻内視鏡検査を受けた後は、鼻を強くかまないでください。
  • 検査後、1時間程度は飲食を控えてください。とくに経口内視鏡検査を受けた方は、咽頭麻酔が切れるまで、検査終了後1~2時間は飲食を控えてください。
  • 組織検査を行った方は、お食事は2時間以上が経過してからにしてください。
  • 検査当日は、アルコールや香辛料などの刺激物は控え、消化の良いものを召し上がるようにしてください。
  • 胃カメラ施行時には正確に観察するために、食道・胃・十二指腸に二酸化炭素を入れて膨らませるため、検査後はお腹が張りますが次第に楽になりますのでご安心ください。